空き家問題は、現代社会における深刻な課題の一つとして、私たちの前に立ちはだかっています。放置された空き家は、景観を損ねるだけでなく、犯罪の温床となったり、災害時のリスクを高めるなど、地域社会全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、空き家問題の深刻さと、具体的な対策について、事例を交えながら解説していきます。
深刻化する空き家問題
空き家率は過去最高を更新
総務省の調査によると、日本の空き家率は年々増加傾向にあり、住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.8%となりました。特に地方都市や過疎地域では、空き家率が30%を超える地域も珍しくありません。
総住宅数のうち、空き家は900万戸と、2018年(849万戸)と比べ、51万戸の増加で過去最多となっており、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.8%と、2018年(13.6%)から0.2ポイント上昇し、過去最高となっている。空き家数の推移をみると、これまで一貫して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍となっている。
空家率ランキング
上位には、人口減少や高齢化が進む地方都市が多くランクインしています。
特に、別荘地を抱える県では、利用頻度の低い別荘が空き家として計上されることも影響しています。
空家率が高い都道府県
1位 和歌山県ならびに徳島県:21.2%
3位 山梨県 20.5%
4位 鹿児島県 20.4%
5位 高知県 20.3%
空家率が低い都道府県
1位 沖縄県 9.3%
2位 埼玉県 9.4%
3位 神奈川県 9.8%
4位 東京都 11.0%
5位 愛知県 11.8%
大都市圏は相対的に空き家率は低いものの、空き家数自体は非常に多く、潜在的な問題を抱えています。
また築年数が古いマンションや、駅から遠いなど立地条件が悪いマンションでは、空き住戸率が高くなる傾向があります。
空き家の原因と課題
空き家が増加する背景
空き家が増加する背景には、複雑に絡み合う様々な要因が存在しますが、やはり人口減少と少子高齢化は大きな影響を与えています。
- 少子高齢化と人口減少:核家族化や晩婚化、未婚化の進行、地方から都市部への人口流出などにより、空き家が増加しています。
- 相続問題:相続手続きの煩雑さや、相続人同士の意見の不一致などにより、空き家が放置されるケースがあります。
- 不動産市場の低迷:地方都市や過疎地域では、不動産の需要が低迷しており、空き家を売却したり賃貸に出すことが困難な状況です。
- 建物の老朽化:築年数が古く、耐震性や居住性に問題がある空き家は、修繕費用が高額になるため、放置されるケースがあります。
空き家が招く問題
空き家は、放置されると様々な問題を引き起こし、地域社会やそこに住む人々に悪影響を及ぼします。
- 景観の悪化:放置された空き家は、雑草が生い茂り、建物が老朽化することで、地域の景観を著しく損ねます。
- 治安の悪化:空き家は、不法侵入や放火などの犯罪の温床となる可能性があります。
- 防災上のリスク:老朽化した空き家は、地震や台風などの災害時に倒壊しやすく、周辺住民の安全を脅かします。
- 地域コミュニティの衰退:空き家の増加は、人口減少や地域経済の衰退を加速させ、地域コミュニティの活力を奪います。
空き家対策の重要性
民法に基づき、建物の所有者は、その建物を適切に維持管理する義務があります。
空き家を放置すると所有者は法的責任を負う可能性があります。
固定資産税の負担増加
空き家は、住宅用地の特例措置が適用されず、固定資産税が最大6倍になる場合があります。これは、空き家を放置することで、地域社会への貢献が薄れるとみなされるためです。所有者は、増加した税負担を負うことになります。
法的責任
空き家の所有者は、建物の倒壊や火災などにより、周辺住民に被害を与えた場合、法的責任を問われる可能性があります。これは、民法に定められた所有者の工作物責任に基づくものです。所有者は、たとえ故意や過失がなくても、所有している建物から他人に損害を与えた場合は、賠償責任を負うことになります。
周辺住民とのトラブル
空き家の管理が不十分な場合、周辺住民から苦情や訴訟を起こされる可能性があります。例えば、空き家からの害虫や悪臭、不審者の侵入など、周辺住民の生活環境を悪化させる行為は、民法上の「受忍限度」を超えるものとして、損害賠償請求の対象となる可能性があります。
不動産価値の低下
空き家を放置すると、建物の老朽化が進み、不動産価値が著しく低下します。将来的に売却や賃貸を検討している場合、放置による価値の低下は大きな損失となります。また、周辺の不動産価値にも悪影響を与える可能性があり、地域全体の活性化を妨げる要因となることも考えられます。
具体的な空き家対策
売却
不動産会社に仲介を依頼し、空き家を売却する方法です。管理責任や固定資産税の負担から解放され、売却益を得ることもできます。特に、相続などで空き家を取得した場合や、遠方に住んでいて管理が難しい場合など、積極的に活用する予定がない場合は、売却が最も現実的な選択肢となることが多いです。
賃貸
空き家を賃貸住宅として活用する方法です。安定した家賃収入を得ることができ、空き家の有効活用にも繋がります。入居者を見つけるためのリフォームや、賃貸管理の手間などを考慮する必要がありますが、長期的な収入源として魅力的な選択肢です。
リフォーム・リノベーション
空き家をリフォームまたはリノベーションし、居住用または事業用として活用する方法です。賃貸よりも高額な収益が見込める可能性がありますが、初期費用が大きくなるため、資金計画や収支シミュレーションを入念に行う必要があります。
解体
空き家を解体し、更地にする方法です。更地にすることで、固定資産税の軽減や土地の有効活用に繋がります。ただし、解体費用がかかるため、補助金制度の活用や解体業者選びなど、慎重に進める必要があります。
活用
空き家を地域活動の拠点やコミュニティスペース、宿泊施設などとして活用する方法です。地域活性化や社会貢献に繋がる一方で、収益化が難しい場合や、運営・管理に手間がかかる場合もあります。地域のニーズや自身のスキル、熱意などを考慮して検討する必要があります。
空き家対策の事例
事例1:古民家再生で地域活性化
Aさんは、地方都市で築100年以上の家を相続しました。Aさんは、この家を解体することも考えましたが、地域の活性化に貢献したいという思いから、古民家再生に挑戦しました。古民家の歴史的価値を活かしながら、現代の生活様式に合わせたリフォームを行い、宿泊施設として開業しました。この古民家再生は、観光客誘致や雇用創出に繋がり、地域活性化に大きく貢献しています。
事例2:空き家バンクでマッチング
Bさんは、地方都市で空き家を所有していましたが、高齢のため管理が難しくなり、売却を検討していました。Bさんは、不動産関連の知識もあったので市が運営する空き家バンクに登録し、空き家を探しているCさんとマッチングしました。Cさんは、Bさんの空き家をリフォームし、移住してきました。この空き家バンクの活用は、空き家の有効活用と移住促進に繋がり、地域の人口減少対策に貢献しています。
空き家バンクは、自分で直接利用者と交渉する必要があります。そのため契約や確認事項に抜け漏れがないかをご自身でしっかり対応する必要があります。
流山くらし不動産では、専門のスタッフがお客様のサポートさせていただきます。詳しい情報や相談は、流山くらし不動産の公式サイトをご覧ください。
まとめ|空き家対策は早めが肝心!
空き家問題は、放置すると深刻な事態を引き起こす可能性があります。空き家対策は、早めに行うことが重要です。
この記事では、空き家問題の現状と課題、空き家になってしまう原因、空き家対策の重要性、具体的な空き家対策、事例紹介について解説しました。
空き家対策でお悩みの方は、ぜひこの記事を参考に、適切な対策を検討してみてください。