土地の売却は、人生における大きな決断の一つ。その中でも特に重要なのが「売買契約書」です。
初めて土地を売却する方は、専門用語や複雑な内容に戸惑うことも多いでしょう。しかし、契約書の内容をしっかりと理解しておくことは、後々のトラブルを防ぎ、安心して取引を進めるために欠かせません。
この記事では、初心者の方でも理解しやすいよう、土地売却の売買契約書における5つの重要ポイントを、具体的な事例やエピソードを交えながら詳しく解説します。
売買代金と支払方法~「言った、言わない」のトラブルを防ぐ~
売買契約書で最も重要なのは、売買代金と支払方法に関する記載です。
売買代金
売主と買主が合意した土地の価格が正確に記載されているか確認しましょう。金額の誤記などは、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
また、代金に絡む土地面積についても留意しましょう。例えば、契約書に記載された面積よりも実際の面積が小さいことが判明したとします。この場合、買主は「契約内容と実際の土地の状態が異なる」と主張し、代金減額を請求する可能性があります。
このような事態を避けるために、事前に土地の測量を行い、境界や面積を確認しておくことが重要です。
支払い方法
支払い方法(現金一括、分割払い、ローン利用など)と、それぞれの支払期日が明確に記載されているか確認しましょう。支払いが遅れた場合の遅延損害金についても定めておくと安心です。分割払いの場合、各回の支払期日と金額、遅延損害金の利率などを具体的に記載しておきましょう。
手付金
手付金の金額と支払時期、解約時の取り扱い(手付解除、違約金など)について確認しましょう。手付金は、契約の証として買主が売主に支払うお金ですが、解約時の取り扱いは状況によって異なります。
買主の都合で解約する場合、手付金は放棄となりますが、売主の都合で解約する場合は、手付金の倍額を買主に返還するなどの規定がありますので注意しましょう。
物件の引渡し時期と条件~「こんなはずじゃなかった」を防ぐ~
物件の引渡し時期と条件についても、明確に記載されている必要があります。
引渡し時期
土地の所有権をいつ買主に引き渡すのか、具体的な日付が記載されているか確認しましょう。
引渡し時期が遅れた場合のペナルティなども定めておくと、双方が安心して取引を進められます。「引渡し期日を過ぎた場合は、1日あたり○万円の遅延損害金を売主が買主に支払う」といった条項を設けることがあります。
引き渡し条件
土地の上に建物や樹木などがある場合は、それらの撤去・処分について、誰がいつまでにどのように行うのかを確認しましょう。「売主は引渡しまでに土地上の建物を解体し、更地にして引き渡す」といった条項が必要です。
境界
隣接する土地との境界が明確に定められているか、測量が必要な場合は誰が費用を負担するのかを確認しましょう。境界が曖昧なままだと、後々隣人とのトラブルに発展する可能性があります。例えば、「境界確定測量が必要な場合は、買主の負担で行う」といった条項を設けることができます。
契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)~「聞いてないよ!」を防ぐ~
土地に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合の責任について、確認しておきましょう。
瑕疵の定義
契約書に記載された内容と実際の土地の状態が異なる場合を指します。土壌汚染、地中埋設物、境界線の不一致などが該当します。売主が「この土地は地盤が強固で、建築に問題はありません」と説明していたにも関わらず、実際に地盤調査を行ったところ、軟弱地盤であることが判明した場合、これは瑕疵に該当します。
責任期間
売主が瑕疵について責任を負う期間(通常は引き渡しから5年)を確認しましょう。
買主の権利
瑕疵が見つかった場合、買主は売主に対して、瑕疵の修補、代金減額、損害賠償、契約解除などを請求できます。瑕疵が軽微な場合は代金減額を、重大な場合は契約解除を求めることができるのが一般的です。
契約解除と違約金~「やっぱりやめた!」となった場合~
契約解除に関する条項も、しっかりと確認しておきましょう。
解除事由
どのような場合に契約を解除できるのか(買主のローン審査否決、売主の都合による解約など)、具体的な事由が記載されているか確認しましょう。
違約金
契約解除に伴う違約金の金額や支払義務について確認しましょう。例えば、「売主の都合で契約を解除する場合は、手付金の倍額を買主に支払う」といった条項が必要です。
その他特約事項~「そんなこと聞いてない!」を防ぐ~
売買契約書には、上記以外にも様々な特約事項が記載される場合があります。
付帯設備
土地にある井戸や浄化槽などの付帯設備について、売買の対象となるか、故障や不具合があった場合の責任はどちらが負うのかを確認しましょう。例えば、「井戸は売買の対象に含まれない」や「浄化槽の故障は買主の負担で修理する」といった条項を設けます。
危険負担
引き渡し前に地震などの災害で土地に損害が生じた場合、誰が責任を負うのかを確認しましょう。一般的には、引き渡し前であれば売主が、引き渡し後であれば買主が責任を負います。
仲介手数料
不動産会社に支払う仲介手数料の金額や支払時期について確認しましょう。仲介手数料は、法律で上限が定められていますが、具体的な金額や支払時期は業者によって異なる場合があります。
まとめ|専門家の力を借りながら、安心な取引を
売買契約書は、土地売却における重要な権利義務を定めるものです。初心者の方は、専門用語や複雑な内容に戸惑うこともあるかもしれませんが、上記のポイントを押さえ、不明な点は不動産会社や専門家に確認することで、安心して取引を進めることができます。
国民生活センターのホームページでも、不動産の売買における注意点やトラブル事例を掲載しているのでリンクを記載しておきます。
不動産の売買では、売主と買主が対等の立場で契約を締結し、お互いに契約の定め(契約書
の内容)について履行をする義務を負います。
そして、いったん契約書を作成し取り交わすと、それ以降、取引は契約書の内容に従って進めら
れ、取引について紛争が生じたときは、その内容に基づいて処理されることになります。
このように、契約書は非常に重要なものですので、締結する前に必ずよく読んで、意味の分
からないこと、納得のいかないことは、聞いたり調べたりして、内容を十分に確認・納得して
から契約をするようにします。
土地売却は、人生における大きな決断の一つです。契約書の内容をしっかりと理解し、納得した上で契約を結ぶようにしましょう。
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不安な点や疑問点があれば、一人で抱え込まずに、遠慮なく専門家に相談してください。